2024.03.20

「お歳暮」に込められた心遣い 「のし」の意味と正しい付け方

お歳暮の時期が近づいてきました。贈り物を贈る際、皆さんは「のし」の扱い方についてご存知でしょうか。「のし」はお歳暮の贈り物に欠かせない大切なマナーです。このブログでは、「のし」の意味や種類、付け方のマナーなどを詳しく解説します。お歳暮を贈る際の参考にしていただけると幸いです。

1. お歳暮の「のし」とは何か

お歳暮の際に贈り物に添えられる「のし」は、どのような意味を持つ装飾なのでしょうか。お歳暮の「のし」について詳しく見ていきたいと思います。

「のし」の基本情報

「のし」とは、贈り物の上に添えられる縁起物の象徴のような飾りのことを指します。その名称の由来は、かつて正式な贈り物に「干されたアワビ」を添えていたことに由来すると言われています。現在では、アワビではなく、掛け紙の右上に印刷された飾りを「のし」と呼ぶ習慣が定着しています。

水引(みずひき)について

のし紙の真ん中にある紐のことを「水引」と呼びます。お歳暮の場合は、「紅白の花結び」タイプの水引が一般的に使用されます。これは「何度あっても良いお祝い事」の際に用いられる水引です。

短冊のし

最近では、簡易包装の観点から「短冊のし」と呼ばれる略式のののしも選ばれることが多くなっています。通常のののし(紙)との違いは、主に紙の大きさです。お歳暮の際にはどちらを使用しても問題ありません。

2. お歳暮に「のし」をつける理由

お歳暮にのしをつけるのは、一般的なマナーとして定着しています。のしには贈り物の意味を伝える役割があり、贈り物の心遣いを示すしるしにもなっています。

のしをつけることで贈り物の意味が伝わる

お歳暮は、日頃お世話になっている方への1年間の感謝の気持ちを込めた贈り物です。のしをつけることで、相手にお歳暮であることが明確に伝わり、贈り物の意味や気持ちが理解されやすくなります。一方で、のしを付けないと、贈り物の意図が分かりづらく、失礼な印象を与えてしまう可能性があります。

贈り物のマナーとして定着している

お祝いごとでの贈り物には、基本的にのしをつけるのがマナーとされています。お歳暮のような慶事の贈り物においては、例外なくのしをつけることが一般的になっています。周りの人がみんなのしをつけているからつけているという人も多いでしょう。

贈る側の心遣いが伝わる

のしをつけることで、相手への感謝の気持ちが強く伝わります。のしをつけるのは、贈り物を贈る際の心遣いを示すしるしとなります。贈る側の気持ちが込められた贈り物だと感じ取ってもらえるでしょう。

3. のしの由来と意味

そもそも熨斗(のし)とは

「熨斗(のし)」は、贈答品や祝儀袋の右上についている装飾的な飾りを指します。日本では古くから、お祝い事に鮑を干して伸ばしたものを付ける風習がありました。鮑は不老長寿の象徴だったため、贈り物に欠かせない食べ物でした。しかし、鮑は高価なものだったため、やがて鮑を模したデザインの「のし」が使われるようになりました。

「のし」と「のし紙」の違い

のしは贈り物に付ける装飾的な飾りですが、のし紙はのしと水引が印刷された紙のことを指します。店で「のしをつけますか」と聞かれる場合、多くの場合のし紙を指しています。

のし紙は慶事(お祝い事)に使われるのが一般的ですが、弔事(葬式など)でも使われることがあります。ただし、弔事で使われるのし紙には黒白の水引だけが印刷されていて、のしは付いていないのが一般的です。

「のし」の起源

日本の贈り物の起源は、神前に供えた奉納品を包んだのが発祥とされています。神饌物(神様に供える食べ物)として新鮮な肴を和紙で包み、その上から数本の白い紙縒りを束ねて丸結び(現在の結切り)にしたものが、のしの原型だと考えられています。

「のし」という語源は、海で獲れるアワビの身を薄く長く伸ばして干物にし、それを「のした」(伸ばした)ものを「のしあわび」として祝儀用の肴に用いたことに始まります。その後、「のし」は「伸びる=永続」の意味を持つようになり、祝意を表す進物に添えられるようになったのです。また、中国でも「干しあわび」を長寿の薬として重宝したことから、「のし」は慶事にのみ用いられるようになりました。

4. のしの種類と選び方

水引の種類と意味

お歳暮に添える「水引」には、色や形によって様々な種類があります。水引の選び方によって、贈り物に込められた想いが異なります。

赤と白の組み合わせの「紅白の蝶結び」は、日本の伝統的な吉祥の色合いを表しています。蝶結びは何度でも結び直せるため、喜びを何度も感じられるシンボリックな意味があり、お歳暮に一般的に使用されます。一方で、「紅白の結び切り」は退院や結婚といった一度限りの慶事に、白黒の「仏のし」は弔事に使われます。また、水引の本数でも使い分けがあり、お歳暮では5本や7本の奇数が一般的です。

短冊のしの活用

「短冊のし」は、のし紙を簡略化したスタイルで、水引と熨斗の印刷された簡素な仕様です。親しい間柄の贈り物に適していますが、上司や高齢者へのお歳暮には避けたほうが無難でしょう。

内のし・外のしの使い分け

お歳暮の贈り物に「のし」をつける方法には、「内のし」と「外のし」の二種類があります。「内のし」は贈り物の箱にのし紙を掛け、その上から包装紙で包む方法で、のし紙が汚れにくいというメリットがあります。一方、「外のし」は贈り物の箱を包装紙で包み、その上からのし紙を掛ける方法で、贈り物への気持ちを前面に出しやすいというメリットがあります。配送の際は内のしが一般的で、直接手渡しの際は外のしが適しています。ただし、厳密な決まりはありませんので、状況に合わせて使い分けるのがよいでしょう。

生鮮品や喪中時のルール

お歳暮の贈り物が生鮮食品の場合は、基本的にのしを付けません。また、自身や贈り先が喪中の場合も、のしを付けずに白無地のかけ紙を使用するのが適切です。慶事用ののしと水引は避けるべきです。

5. のしの書き方

表書きと名前の書き方

のし紙の上段中央に水引の上部に、「お歳暮」や「御歳暮」などの表書きを縦書きで記載します。年を超えて贈る場合は、「御年賀」や「寒中御見舞」といった表書きに変更します。 名前は、表書きの下段中央に、表書きより少し小さめの文字で贈り主のフルネームを書きます。複数人で贈る場合は、代表者のフルネームを書き、左側に「他一同」と付記します。

筆記用具と書き方のマナー

のし紙への記入は筆で書くのが一般的ですが、サインペンやフェルトペンの使用も問題ありません。文字は丁寧に書き、のしや水引にかからないよう気をつけましょう。

内のし vs 外のし

のし紙の付け方には、「内のし」と「外のし」の2つの方法があります。内のしは商品に直接のし紙をかけてから包装紙で包む方法で、外のしは商品を包装してからのし紙を外側からかける方法です。配送する場合は内のし、直接手渡しする場合は外のしが一般的ですが、地域によっては慣習があるため事前に確認しておくとよいでしょう

時期を逸した場合の表書き

お歳暮の贈り時期を逸してしまった場合は、表書きを変更する必要があります。1月7日まで「御年賀」、1月8日~2月4日「寒中御見舞」と書きます。また、喪中の際は「お年賀」は避け、「寒中御見舞」や「お歳暮」と書きます。

名前の必要性

のし紙に名前を書くかどうかは自由ですが、贈り先が多数の場合は、誰から贈られたかわかるよう名前を記載することが望ましいでしょう。直接手渡しする場合は、名前なしでも問題ありません。

まとめ

お歳暮の贈り物にのしをつけることは、日本の伝統的なマナーとして定着しています。のしには、贈り物の意味を伝える役割があり、贈り主の心遣いを相手に伝えることができます。のしの種類も豊富で、用途や状況に合わせて使い分けることが大切です。贈り物の意図を伝えるために、適切なのしの選び方と書き方を意識することが重要でしょう。